JSPICC - 日本小児集中治療研究会

JSPICC NPO法人 日本小児集中治療研究会 Japanese Society of Pediatric Intensive and Critical Care

理事長就任にあたって

特定非営利活動法人日本小児集中治療研究会の理事長を2012年10月に仰せつかりました中川 聡(なかがわ・さとし)と申します。
小児の集中治療(Pediatric Critical Care)は、欧米先進国では確立された医療分野として認識されていますが、我が国では、まだまだ遅れていると言わざるを得ません。我が国で集中治療を必要とする小児患者の数は年間約27,000人と試算されます。しかし、現時点で小児集中治療室(Pediatric Intensive Care Unit; PICU)で管理されている患者数は8,000人余りにとどまっています。残りの重症の小児患者は、一般の総合ICUで、あるいはICUでの治療が受けられずに小児病棟などの一般病棟で管理をされていると考えられます。当研究会は、このような日本の現状を打破すべく、医師や看護師をはじめとする医療従事者が互いに勉強しあう場として1994年に設立されました。

当研究会の現在の二大事業は、小児集中治療ワークショップの開催とPediatric Advanced Life Support (PALS) コースの開催です。
小児集中治療ワークショップは、1994年に第1回を開催し、それ以来、年1回のペースで開催しています(2000年には例外として、通常の国内開催のワークショップ以外に、カナダ国のトロント小児病院で特別ワークショップの開催を行いました)。小児集中治療ワークショップは、小児集中治療に従事する医師・看護師・臨床工学士だけでなく、小児の急性期医療に関心のあるすべての医療従事者・関係者に門戸を広げて、小児集中治療に関する最新の知識を提供したり、お互いに情報を交換したりする場として活用されています。

一方、PALSコースは、当研究会が初めて2002年に我が国に導入しました。このPALSコースは、米国では小児医療に従事する人が必ず受けるべき基礎的なトレーニングコースとして古くから定着していました。PALSは、小児蘇生のみならず、小児の急性期医療における基本的な考えを伝えるコースです。当研究会は、日本の小児急性期医療の底上げを目的にPALSを導入し、導入以来2012年までに、6,500人のプロバイダーを世に送り出しています。一方、インストラクターの数は250名を数えるほどになり、日本全国でPALSコースが開催されるに至っています。

わたくしは、当研究会の今後の目標を、教育、国内医療体制、研究、国際協力に置いています。
教育においては、小児集中治療ワークショップをはじめとする教育プログラムをとおして、小児集中治療の概念・知識をさらに全国に普及させることを目標にします。医学の発展や社会の変化に伴い、小児医療を取り巻く環境も変化をしています。こういった中で、重症の小児患者に対して適切な医療が提供できるような概念・知識の普及を本研究会は継続して担ってゆきます。
同時に、小児患者に対して集中治療を有効に提供できる体制の整備にも尽力します。このことにおいては、関連学会や行政との連携が重要となります。健康保険制度における小児集中治療の評価のみならず、適切な薬剤の使用、医療機器の適正使用など、問題を一つずつ解決してゆきたいと思います。
さらに、臨床研究の土壌がなかなか定着しない我が国において、小児集中治療においては、複数の施設が協力して臨床研究を行う体制ができつつあります。この体制を当研究会が後押しをすることにより、日本発の情報を国内外に発信できるようにします。

また、日本の周囲のアジアの国々を見てみると、小児集中治療が置かれている環境は、あまりにも日本に似ています。すなわち、日本同様、小児集中治療が医療の一分野として認識されていない国が多いのです。日本がこれまで歩んできた道筋、さらには今後発展してゆく様は、他のアジアの国の参考になり得ます。これまでは、国内の重症の小児患者に目を向けていた当研究会ですが、国外の重症小児患者に対する医療に貢献できるように、近隣のアジアの国々との協力体制を築いてゆきたいと考えています。

1994年に設立された本研究会は、設立の時から18年もの長きにわたり前理事長の宮坂勝之先生によって牽引されてきました。これまでの、日本の小児集中治療の発展は、宮坂先生のリーダーシップの賜物です。これまでの宮坂先生のご尽力に対して心から感謝申し上げます。そして、2012年の第20回の小児集中治療ワークショップを機に、本研究会が、わたくしを含む次の世代に引き継がれたということになります。
当研究会は、上記目標の達成をはかり、日本のこどもたちに集中治療が適切に提供できる体制が構築できるように努力をしてゆく所存です。
皆様の当研究会へのご支援をお願いする次第です。

特定非営利活動法人日本小児集中治療研究会
理事長 中 川  聡


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