JSPICC - 日本小児集中治療研究会

PALS 小児二次救命処置法 (AHA 認定) Pediatric Advanced Life Support

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小児の救命の連鎖と PALS (2004年) Pediatric Advanced Life Support

国立成育医療センター手術集中治療部 清水直樹

 

脳蘇生の重要性と、小児蘇生レジストリー

 ガイドライン2000の段階で、心肺脳蘇生という用語が用いられ、蘇生学における脳蘇生の重要性は既に認識されている。その最終目的である脳機能の維持のための蘇生のあり方として、心肺停止予防や BLS 普及の重要性も充分に再認識されている。

 2005年1月に行われたコンセンサス2005の国際蘇生会議でも、こうした脳蘇生はさらに重視される傾向が強く、蘇生後の中枢神経集中治療管理は、蘇生学における重要課題の一つとして広く認識されつつある。

 脳蘇生というと、低体温療法をはじめとして、あたかも何か特殊な治療方法があるかのように誤解されがちである。しかし、脳蘇生の基本の第一は、救命の連鎖にそった予防と迅速な BLS の徹底から始まることを忘れてはならない。次には、きわめて一般的と考えられる管理、即ち呼吸管理、循環管理、輸液管理、体温管理の基本的な考え方の細かい要点を丁寧におさえることが重要となる。それらを前提として、充分なエビデンスを議論した上で、低体温療法をはじめとする特殊療法の導入を検討する、といったロジックが求められる。

 小児脳蘇生に関して充分な研究がされていないのは本邦だけではなく、国際的にも重要な課題である。こうした状況を打破するためには、国際的な多国間多施設共同研究の体制が将来的に求められる。単一施設や単一国家で思いつきの治療を導入しても、多くの小児患者の脳蘇生の質を改善することに結びつけることは出来ない。

 国際的な蘇生レジストリーとして National Registry of Cardio-Pulmonary Resuscitation; NRCPR が知られているが、こうした形態を雛形とした国内小児蘇生レジストリーと多施設共同研究体制が、本邦の小児脳蘇生の研究を充実させる上でも不可欠な要素となると考えており、その実現にむけて昨年から努力を開始している。

 
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